相続が開始したら、民法によって定められた相続順位に基づいて法定相続人が決定します。では、相続が開始しても相続人が一人もいなかったら、その財産はどうなるのでしょうか。相続人が存在しないからといって、相続財産を放置してしまうわけにはいきません。被相続人に権利をもつ債権者は、その権利を行使することができなくなってしまいます。
こちらでは、「相続人のいない相続」を解決するための方法として、「相続財産清算人の選任申立て」についてご説明いたします。
相続財産清算人
相続人の存在が不明な場合、被相続人の債権者や、特定遺贈の受遺者といった利害関係人や、検察官が、家庭裁判所に対して、相続財産清算人の選任を申し立てることが可能です。
この相続財産清算人に選任される方には特別な資格は必要ありません。しかし、ときに法的な手続きを代行することもあるため、法律上他人の財産管理を許された弁護士や司法書士などの専門家が適した役割だといえます。
相続財産清算人が選任されると、相続財産清算人は、相続人が本当にいないのかどうかの調査を進めるとともに、債権者や受遺者への清算を済ませるほか、清算後に残った財産については、特別縁故者に財産を引き継ぎます。
親しくしていた友人などが亡くなり、相続人が誰もいなければ、葬儀費用などを代わりに支払ってあげようと考えることもあるかもしれません。しかし、そこで支払った葬儀費用は、権限がない限り勝手に相続財産から取り戻すことはできません。
相続人のいない相続であっても、放置することなく、必ず相続財産清算人の申立てを行いましょう。