遺言による遺産分割の定めがない相続では、遺産分割に関する相続人全員での話し合いである「遺産分割協議」を行い、その内容を「遺産分割協議書」として書面にする必要があります。
遺産分割協議書の形式については法律上の定めはなく、その内容についても指定はありません。しかし、遺産分割協議書に有効性をもたせるためには、注意すべき記載があります。
こちらでは、遺産分割協議書の記載についてご説明いたします。
遺産分割協議書を作成するために必要なこと
遺産分割協議書作成の前段階として、遺産分割協議の実施には、相続人全員の参加が必須です。どんな事情であれ、相続人が一人でも欠けてしまうと、遺産分割協議がまとまっていてもその協議は無効となってしまいます。
遺産分割協議書の参加者に抜け漏れがないよう、被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集するなどの方法により、相続人の範囲を確定させておきましょう。
財産の内容は「特定できる情報」を記載
遺産分割協議書に記載する相続財産の内容は、誰が見ても特定の財産であることがわかる必要があります。
そのため、不動産については登記簿通りの表記で記載し、金融資産については金融機関名・支店名・口座番号まで記載するようにしましょう。
遺産分割協議書の作成後、相続財産の内容について訂正を加える場合には、該当箇所に二重線を加えたうえで、相続人全員の押印が必要です。
遺産分割協議書の完成要件は「相続人全員の署名押印」
遺産分割協議書を完成させるためには、相続人全員での署名捺印が必要です。記載事項が多く、遺産分割協議書が複数ページに及ぶ場合、相続人全員の実印による契印が必要です。署名捺印があってはじめて、相続人全員の合意のある法的に有効な書類として扱われます。
遺産分割協議書は、不動産の名義変更や金融機関の解約手続きに必要になりますが、その多くの場面で、実印での押印であることを確認するために、印鑑登録証明書の添付が必要です。
静岡県内の金融機関の多くは、手続き前3カ月又は6か月以内に発行された印鑑登録証明書を添付書類としているようですので、手続きの必要な機関に応じて、事前に確認しておきましょう。