お亡くなりになった方が所有していた不動産を受け取った方は、その不動産の名義をお亡くなりになった方から受け取った方に変更する手続き(相続登記)をする必要があります。
相続登記については、2023年現在では義務づけられてはいません。しかし、不動産名義が被相続人のままだと、他人に対して自分か所有者であることを主張できず、すぐに売却することもできなくなってしまいます。また、2024年4月1日からは相続登記が義務化され、一定期間内に登記を行わなければ過料が課せられてしまう「相続登記の義務化」が始まります。相続が発生したら、出来るだけ早く相続登記を行うことをおすすめいたします。
なお、不動産の名義変更は、遺言書の有無によって、手続きの流れが異なります。 こちらでは、「遺言書がない相続」における名義変更の流れについてお伝えいたします。
遺言書がない相続での相続登記
1)相続人と相続財産の調査
遺言書のない相続においては、相続人全員での遺産分割協議により、相続財産の分け方を話し合う必要があります。
遺産分割協議の参加者の範囲を確定するために、相続人の範囲を明らかにしましょう。
被相続人の出生から死亡までの記載のあるすべての戸籍謄本を確認することで、相続人となるべき人が把握できます。必要に応じて、各相続人の戸籍も取得しましょう。
あわせて、法務局や市区町村役場で管理されている登記簿謄本等も確認し、不動産の有無や名義の確認もしましょう。
2)遺産分割協議と遺産分割協議書の作成
相続人の範囲が確定し、相続財産が明らかになったら、相続人全員で遺産分割協議を行います。遺産分割協議で遺産の分け方について合意が得られたら、その内容を証する遺産分割協議書を作成し、相続人全員での署名と実印での押印が必要となります。
遺産分割協議書は、その後の相続手続きを行う際に必要となりますので、大切に保管しておきましょう。
3)相続登記の申請
遺産分割協議が終わったら、不動産所在地を管轄する法務局で相続登記を行います。 相続登記には、以下の書類が必要です。
- 遺産分割協議書
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本全部
- 被相続人の住民票の除票又は戸籍の附票
- 相続人全員分の住民票及び現在の戸籍謄本
- 相続人全員分の印鑑登録証明書(遺産分割協議書作成日後3カ月以内)
- 申請不動産の固定資産税評価証明書 ・相続関係説明図 等
※相続人が1名の場合又は法定相続分で遺産分割を行う場合は、遺産分割協議が不要なため、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑登録証明書は提出不要です。
相続登記を行うためには、「登録免許税」という税金を納めなければなりません。登録免許税額は、不動産の固定資産評価額の0.4%と定められています。 相続登記が終わったら、法務局の窓口で、「登記識別情報」(権利証)を受け取りましょう。