年齢を意識し始めると、「認知症や入院が必要な病気になってしまったら」「自分にもしものことがあったら」と考えてしまうことも増えてくるかもしれません。身近に頼れる親族がいなかったり、身近な家族であっても迷惑をかけたくなかったりと不安は尽きません。
相続財産として遺すべき財産がある場合には、遺言書を残しておくことが、重要な生前対策となります。遺言書が残されていることで、「故人の最後の意思」として、もしものことがあっても、希望通りに相続手続きを進めてもらうことができます。
「遺言書最優先」が相続の大原則
遺言書は、故人が生前残した「最後の意思」そのもの。ゆえに、故人の財産を分け合う手続きである相続においては、遺言書による指定が最も優先されます。ご自身の財産を渡したい方がいらっしゃったり、特定の団体に寄付したかったりと、財産の渡し方に希望がある場合には、遺言書は必須と言えるでしょう。
遺言書は自分で作ることもできます(自筆証書遺言)。しかし、遺言者の死後に開封して初めて方式不備が明らかになり、遺言書が無効となってしまうことも少なくありません。そのような方式不備による無効に加えて、第三者による紛失・改ざんを防ぐためにも、遺言書を作成する際には、公正な第三者を交えて作成する「公正証書遺言」をおすすめいたします。
公正証書遺言の作成に立ち会う「公証人」は、法律実務の経験豊かな方が務めますので方式不備による無効の心配はありません。さらには、公証役場で作成された公正証書遺言は、その場で原本が保管されるため、紛失・改ざんのリスクもありません。
ただ、遺言書最優先が相続の大原則とはいえ、遺言書の通りに手続きを進めてくれる人がいなければ、遺言書の内容も絵に描いた餅にすぎません。遺言書の内容を確実に実現するためにも、「遺言執行者」の指定も併せてしておくことが大切です。
死後の手続きについても生前対策は可能
遺言書とは、自分の財産の分け方に関する意思を示す書面です。しかし、亡くなられた方の死後に進めなければならないのは、遺産の分割だけではありません。葬儀・供養の手配や、役所での手続き、各種サービスの解約・精算など、死後のお手続きは多岐に渡り、遺言書だけでそれら全てをカバーするのは現実的ではありません。
このような「死後のお手続き」への対策には、「死後事務委任契約」をご検討ください。各種専門家と死後事務委任契約を締結しておくことで、ご自身の死後、受任者が代わって手続きを進めることが可能となります。
生前対策は、遺言書の作成から死後事務委任契約の締結まで、様々です。ご自身のニーズに合わせた適切な生前対策を進めるためにも、お元気なうちから、相続・生前対策の専門家までご相談ください。