お亡くなりになられた方が遺言書を残していた場合、その方の「最後の意思」である遺言書が最優先され、遺産分割は遺言書の内容に沿って行われます。
一方で、遺言書が残されていない場合には、相続人間の遺産分割協議に基づいて、遺産の分割を行います。
この「遺産分割協議」は、相続人全員の参加と遺産分割協議書への署名と押印が必須の要件です。逆を言えば、相続人間で合意に至らなければ、有効な遺産分割協議を行うことはできません。突然手に入れた多額の遺産や分割の難しい不動産をめぐり、元々関係の良好だった親族同士で争いに発展してしまうことも珍しくはありません。
こちらでは、まとまらない遺産分割を解決する方法として、「遺産分割調停」についてご説明いたします。
遺産分割調停
相続財産の分割をめぐり、相続人間で合意に至らない場合、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てを行うことができます。
遺産分割調停では、中立公正な立場にある調停委員が各当事者から話を聞き、具体的な解決策を提案することにより、当事者間での遺産分割に関する合意を目指します。
この調停でも当事者間の合意に至らない場合には、裁判所が職権をもって、遺産分割の割合について定める審判手続きに自動的に移行します。
遺産分割調停申し立てのための必要書類
遺産分割調停申し立ての際には、以下の必要書類を用意し、相手方のひとりの住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意により指定した家庭裁判所に申立てを行います。
- 申立書
- 被相続人の出生から死亡までの記載のあるすべての戸籍
- 相続人全員の現在戸籍(戸籍謄本)
- 相続人全員の住民票又は戸籍の附票
- 遺産の内容を証明する書類
静岡市内の遺産分割事案を管轄する静岡家庭裁判所(静岡市葵区)では、年間370件ほどの遺産分割調停が申し立てられ、そのうちの60件程度が審判に移行しています。この数値を見ても、遺産分割協議がまとまらず、調停になってしまうことは珍しくありません。まとまらない遺産分割に不安を感じている方がいらっしゃいましたら、専門家にご相談ください。