人が亡くなると様々な相続手続が必要となりますが、そのなかには期限が定められている手続きもあります。
万一、期限を過ぎてしまうと、過料や延滞税を支払わなければならない場合もあります。相続が発生したときは、必要な手続きと期限を確認し、期限内に進める必要があります。こちらでは、期限が設けられている相続手続についてご説明します。
役所への死亡届の提出
人がお亡くなりになった場合、まずは死亡届を提出する必要があります。
死亡届に死亡診断書(又は死体検案書)を添付し、亡くなった方の死亡地又は本籍地、届出人の所在地のいずれかを管轄する役所に届け出なければなりません。住所地と本籍地が異なる場合、住所地に届け出ても本籍地に死亡届が送付されたのち、本籍地の役所で戸籍に死亡が反映されます。
相続手続きに必要な戸籍の収集を迅速に行うためにも、可能であれば本籍地の役所に死亡届を届け出ることをおすすめします。
死亡届の提出期限は、被相続人の死亡を知った日から7日以内です。期限を過ぎてしまうと、5万円以下の過料が課せられます。
家庭裁判所への相続放棄・限定承認の申述
相続が発生すると、相続人は、単純承認・相続放棄・限定承認のいずれかの相続方法を選択しなければなりません。
相続放棄又は限定承認を選択する場合には、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述しなければなりません。静岡市内で亡くなった方の相続に関する申述先は、静岡家庭裁判所(静岡県葵区)になります。
相続放棄・限定承認の申述期限は、被相続人の死亡を知った日から3か月以内です。期限を過ぎてしまうと、自動的に単純承認を選択したとみなされます。この場合、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続することになるため、被相続人に負債がある場合には特に注意が必要です。
税務署への準確定申告
亡くなった方が、自営業者であったり、給与所得が2,000万円以上であったりする場合、相続人は本人に代わって被相続人の最後の住所地を管轄する税務署に、確定申告を行わなければなりません。この申告を「準確定申告」といいます。
この準確定申告は、亡くなった方が所得要件を満たしていなかったり、相続人が相続放棄をしたりした場合には不要です。
しかし、準確定申告が不要な場合でも、亡くなった方が生前に10万円以上(年間所得200万円以下の場合には所得金額の5%以上)の医療費を負担していた場合などは、医療費控除の対象となり、還付金を受けられる可能性があります。
静岡県内だけでも税務署は13か所あり、それぞれの税務署ごとに、市、区又は郡ごとの管轄地があります。亡くなった方の最後の住所地を管轄するのがどこの税務署なのか必ず確認を行うようにしましょう。
準確定申告の申請期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から4か月以内です。期限を過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税が課されます。
税務署への相続税申告
亡くなった方の相続財産調査の結果、相続税申告が必要となった場合には、被相続人の最後の住所地を所轄する税務署に相続税の申告をしなければなりません。
相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内です。
期限を過ぎてしまうと、加算税や延滞税が課されます。さらには、配偶者控除や小規模宅地の特例など各種の特例も利用できないこともあり、支払う相続税額も増えてしまいます。
相続における手続は多岐にわたり、期限を過ぎてしまうとペナルティが課されてしまうものもあるほか、相続税などは計算を誰が行うのかによって申告額が異なる場合もあります。期限のある手続について、一度専門家に相談してみることもおすすめです。