相続税対策として近年用いられる「生前贈与」。節税方法として広く用いられている方法ではありますが、生前贈与の際に気を付けなければならないものの一つとして「贈与税」が挙げられます。
「贈与」とは、自分が所有する財産を第三者に無償で渡す契約のことを言います。贈与の成立には、原則として財産を渡す側と受け取る側の双方の合意を必要としますが、現金や不動産等の財産的価値が認められる財産を受け取った方には、贈与税の支払い義務が生じます。
贈与税の基礎控除額
贈与税は、贈与された財産の全体に対して課せられる税金ではありません。年間でひとりの方が受けた贈与財産の合計額が110万円の基礎控除額を超えた場合に、超過部分について課せられる税金が贈与税です。
なお、社会通念上、扶養義務者による生活費や、子供の教育に要した費用、見舞金等と認められる贈与については、贈与税の非課税対象となります。
基礎控除以外の非課税枠
贈与税には、110万円の基礎控除のほかにも非課税枠が設けられています。その代表例として挙げられるのが、「夫婦間での居住用不動産の贈与における配偶者控除」です。この配偶者控除は、婚姻期間が20年以上ある夫婦間での贈与において、基礎控除とは別に2,000万円までを控除する制度です。
そのほか、生前贈与に関わる非課税制度として、「相続時精算課税制度」が設けられています。相続時精算課税制度は、60歳以上の父母又は祖父母から18歳以上の子又は孫への贈与において、2,500万円までを非課税とする制度です。
しかし、この制度は配偶者控除とは異なり、支払うべき税金をゼロにする制度ではありません。財産の贈与時に負担すべき税金をゼロにする代わりに、相続が発生した際には、このときの贈与分を相続財産に持ち戻したうえで相続税額を計算しなければなりません。持ち戻した財産も含めた相続財産額が相続税上の基礎控除額を下回る場合には、相続税は課せられません。
なお、これらの配偶者控除や相続時精算課税制度は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までに申告した場合にのみ適用される制度です。これらの制度の利用を検討される際は、必ず申告も行うようにしましょう。
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