突然多額の遺産が手に入るチャンスが生まれる相続によって、相続人間で揉めてしまうケースは少なくありません。いったん悪化してしまった親族関係を修復するのは困難です。相続によって生じるトラブル事例を参考に、対策を進めておきましょう。
こちらでは、「まとまらない遺産分割」のトラブル事例をご紹介いたします。
トラブルリスク1:財産の内容でまとまらない!
- 相続財産が被相続人名義の不動産しかなく、複数の相続人での分割方法に困ってしまう。
⇒物理的な分割が難しい相続財産については、「換価分割」や「代償分割」といった方法で分割することが可能です。それぞれのメリット・デメリットを検討し、最適な分割方法を選択しましょう。
- 財産調査の結果、預貯金や不動産の総額よりも借金総額のほうが多かった。
⇒相続したくない財産がある場合には、「相続放棄」や「限定承認」といった方法で相続することが可能です。相続したい財産・したくない財産の内容に応じて、最適な相続方法を選択しましょう。
トラブルリスク2:親族間でまとまらない!
- 被相続人と同居していた相続人が被相続人の通帳を隠しており、財産が分からない。
⇒財産調査をしようにも、相続人のひとりが財産を隠してしまい、他の相続人に開示してくれないこともあります。しかし、相続人であれば、誰でも財産調査を行うことが可能です。専門家に依頼するなどして、正確かつ確実な財産調査を行いましょう。
- 多額の生前贈与を受けた相続人がおり、相続財産を平等に分割したくない。
⇒相続人に、被相続人から「特別の利益」を受けていた方がいた場合、「特別受益」を考慮した遺産分割を行うことができます。
トラブルリスク3:遺産分割協議がまとまらない!
- 相続人間の関係が悪く、相続人全員が集まらない。
⇒有効な遺産分割協議の成立には、相続人全員の参加が必須要件です。相続人が一人でも欠けていると遺産分割協議を行えません。相続人間での合意が難しい場合には、家庭裁判所に申し立てることで、遺産分割調停に進むことができます。
- 相続人のなかに行方不明の方がいるため、遺産分割協議を行えない。
⇒行方不明の相続人がいる場合、遺産分割協議だけでなく、遺産分割調停も進めることができません。行方不明の方については、家庭裁判所に「不在者財産管理人」や「失踪宣告の申立て」をすることによって、遺産分割協議を進めることができます。
本来防げたトラブルを防ぐためにも、遺産分割を行うにあたり、トラブルの火種を知っておくことは大切です。一方で、すでに発生している相続トラブルにお悩みの方は、出来るだけ早く相続の専門家などの中立な第三者に関与してもらい、早期の解決を目指しましょう。