相続人の調査と並行して、財産調査が終了したら財産目録を作成しましょう。
財産目録とは、被相続人が所有していた財産を一覧にまとめた文書をいいます。調査によって明らかになった財産を財産の種類ごとに分類し、概算評価額とともに一覧化しておくことで、その後の相続手続きを円滑に進めることが可能になります。
こちらでは、財産目録の活用場面についてご説明いたします。
相続放棄・限定承認の判断
相続放棄や限定承認をするためには、相続発生日から3カ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。
しかし、財産の全体像がわからず、被相続人の負債の多寡が把握できていなければ、申述期限内に相続放棄・限定承認をするか否かの判断ができないかもしれません。これらの申述が期限内に行われないと、自動的に単純承認したものとみなされ、負債も含めたすべての財産を相続することになってしまいます。必要以上の負債を背負わずに済むためにも、財産目録を作成することがおすすめです。
円滑な遺産分割協議
多様な相続財産がある場合や、相続人が多い場合など、複雑な遺産分割協議を行うためにも財産目録は有用です。
もしも全財産の把握ができていない状態で遺産分割協議を行った結果、その後に新たな財産が発覚した場合、遺産分割協議を改めて行わなければなりません。多様な相続財産がある場合や、相続人が多い場合などに繰り返し遺産分割協議を行うことは、相続人間のトラブルの原因にもなりかねません。
相続人全員が相続財産の全てについて即座に把握できるようにするためにも、財産目録を活用しましょう。
相続税申告の必要性の判断
相続が発生しても、全ての相続人が相続税を申告しなければならないわけではありません。相続税の申告が必要になるのは、財産額が税法上の基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を上回る場合のみです。
財産目録で財産を一覧化しておくことで、財産総額も容易に把握することができます。相続税の申告が必要かが分からない場合には、財産目録を作成してみましょう。