納税すべき相続税額を確定させる前段階として、相続財産の評価を行う必要があります。財産評価を誤って算出してしまうと、納税額に齟齬が生まれてしまうリスクがあります。
さらには、本来納税すべき相続税額よりも少ない額で評価額を算出し、その評価に基づいて納税してしまうと、過少申告へのペナルティとして納税額が加算されてしまうおそれがあります。
こちらでは、相続財産のうち、【がけ地のある宅地】の評価についてご説明いたします。
がけ地のある宅地の評価
がけ地とは、通常の用途に使うことができない傾斜のある土地を言います。
がけ地だと、宅地であっても建物を建築することが容易ではありません。
似たような条件の土地と比べても利用が制限されるため、相続税上の財産評価においては、評価額が低くなるように調整されています。
がけ地を含む土地の評価は以下の手順で算出します。
- がけ地を含む宅地であっても、平坦な宅地として評価額を算出する。
- 平坦な宅地として算出された評価額に「がけ地補正率」を乗じる。
がけ地補正率
がけ地補正率とは、「がけ地の方位」と「がけ地の地積」によって変動する、路線価に対する補正率を言います。
「路線価に対する補正率」ですので、宅地としての評価額の算出は、路線価方式に依るものに限られます。路線価が定められておらず、倍率方式に依らなければ評価額を算出できない土地については、がけ地補正率は適用できません。
がけ地補正率は、斜面の面する方位とがけ地の総地積によって、細かく異なりますので、詳しくは国税庁のホームページをご確認ください。
宅地造成費
宅地造成費とは、地盤改良や伐採など、農地や林地等を整地にするためにかかった費用のことを言います。
宅地造成費は、各都道府県で毎年定められ、国税庁により公開されています。
参考までに、静岡市 葵区、清水区、藤枝市、焼津市県での令和4年分の宅地造成費は、平坦地については700円~74,400円/㎡、傾斜地については、18,700円~57,700円/㎡で設定されています。
宅地造成費は、農地や雑種地など、様々な土地の評価額を減額できますが、がけ地補正率とは異なり、日照や採光などの自然条件が考慮されていません。所有する土地の評価にあたっては、どのような控除を利用できるのか、専門家へのご相談をおすすめいたします。
静岡あおい相続遺言相談室では税理士の独占業務はパートナーである税理士が担当し、連携してお客様のサポートを行っております。