亡くなった方が遺言書を残されていた場合、故人の「最後の意思」である遺言書が最優先されます。
被相続人の遺言により特定の人物に財産を取得させることを「遺贈」と呼び、「遺贈」により遺産を取得する者を「受遺者」と呼びます。受遺者には個人だけではなく、団体も指定することが可能です。
こちらでは、遺贈による相続において課せられる相続税についてご説明いたします。
遺贈にかかる相続税の注意点
遺贈は被相続人の死亡をきっかけとして発生する贈与ですので、課せられる税金は贈与税ではなく相続税となります。
このとき、相続人以外の第三者へ遺贈を行う場合、通常の相続人とは異なる相続税への注意が必要です。
遺贈と基礎控除
遺贈により財産を取得する場合の相続税も、基礎控除額が設けられています。 注意が必要なのは、基礎控除額の算出には、「法定相続人」の人数のみを用いる点にあります。つまり、相続人以外の方への遺贈においては、受遺者は基礎控除額の計算人数には含まれませんが、取得割合に応じた相続税額の振り分けには、受遺者を含んで計算することになります。
遺贈と相続税加算
被相続人の配偶者や子供、父母以外を受遺者とする遺贈には、相続税額が2割加算されて課されます。
通常の相続においても、兄弟姉妹に対しては2割加算が適用されますが、遺贈による相続人以外への財産の受け渡しも、税負担の公平性の観点から、同様の制度が設けられています。
遺贈と小規模宅地の特例
不動産の相続や遺贈においては、一定の要件を満たす相続人や土地について、不動産評価額が最大80%減額される「小規模宅地等の特例」を利用することができます。
しかし、小規模宅地等の特例の対象となる相続人は、被相続人の配偶者のほか、一定の要件を満たす親族のみになります。ですので、受遺者として親族以外の方が指定されている場合には、小規模宅地等の特例を用いることができません。
遺言書による相続は、故人の遺産に関する意向を遺すものとして非常に有効な反面、遺贈にかかる相続税は通常よりも高くなってしまうこともあります。
このような遺言書の特徴を押さえて、どのように遺贈を行うかを考えるようにしましょう。