相続税は、国が相続人に納付額を通知するのではなく、相続人が納税額の算出から納付までを行う「申告納税制度」を採用しています。
申告納税制度の下では、申告したときよりも実際に取得した相続財産額が少なく、本来納めるべき金額以上を納税してしまう場合があります。
このような場合には、「更正の請求」をすることで、税金の減額を請求し、相続税の還付を受けることが可能です。更正の請求は原則として、申告期限から5年以内に行わなければなりません。
更生の請求が行われるケース
申告額と実際の取得額との間に乖離が生じてしまうのは、多くの場合が、遺産分割協議が申告までに整わなかった場合です。
遺産分割で親族間の揉め事に発展してしまった場合や、遺言書が発見されたために遺産分割を再度行わなければならなくなってしまった場合など、遺産分割が整わないと、法定相続分で一旦申告してしまうことがあります。
法定相続分で一度申告してしまえば、申告しなかったことへのペナルティである無申告加算税は加算されません。遺産分割協議がその後整ったら、実際の取得分に応じて修正申告や更生の請求を行いましょう。
遺産分割が整わない場合以外にも、遺言で受遺者として指定されていた方が相続放棄をしてしまった場合や、遺留分侵害額請求により取得分が変わった場合など、更正の請求が行われる場面は様々です。
払いすぎてしまった相続税は、還付を受けることができるので、申告額と実際の取得額とに乖離がある場合には、必ず更生の請求を行うようにしましょう。